
CRAFT TALESがAirPodsケースを銀で作るわけ
「自分で使いこなしていくもの、職人が丹精こめてつくったものということになれば、まちがいなく、使えば使うほど、よくなるんです。」
『職人(岩波新書)』永六輔著
はじめてミャオ族の銀細工と出会った時、「この素晴らしい技術を世界に知ってもらうにはどうすれば良いだろう?」と強く感じたのを覚えています。
中国や東南アジアに分布する少数民族、ミャオ族。
彼らの日常生活と切っても切り離せないもののひとつが、伝統的な銀細工です。
婚礼に際し女性が身につける銀飾の冠や首飾り。
財産・装飾品・魔除け、そして物語や歴史を後世に伝える記憶媒体でもあった銀細工は、その技術を代々受け継いできた職人によってひとつひとつ丁寧につくられてきました。
職人の手仕事にフォーカスしたショップを目指す「CRAFT TALES」にとって最適なパートナーになると思い、お声がけさせていただきました。
ミャオ族の人々とタッグを組むにあたって、私は彼らがこれまでに制作してきたシルバーアクセサリーや茶器のセレクト販売に加え、新たにオリジナルアイテムの制作を提案しました。
オリジナルアイテム考案の軸となったのは「毎日持ち歩くもの」。
職人の手仕事をもっとも感じられる製品とは毎日手で触れる日用品です。
祭事のために銀細工の技術を磨いてきた職人の技術を、永六輔氏の言葉のとおり「使えば使うほど、よくなる」日用品でも感じたい。
何百年・何世代にもわたって受け継がれてきたミャオ族の歴史を「もっと日常生活で身近なものに」と考えた時、思い至ったのがAirPodsのケースでした。
その日の気分によってアクセサリーを選ぶおしゃれさんは数いれど、ワイヤレスイヤホンのケースまで日々つけ替える人はほとんどいないはず。
スマートフォンとならび、毎日持ち歩くものの筆頭格であるワイヤレスイヤホンのケースをシルバーで作る。
常に手元にあるものだからこそ、最高の逸品を選びたい。
ケースを手に取りイヤホンを耳に差し込む時、ふと「銀」に寄り添って何百年も暮らしてきたミャオ族の人々に想いを馳せる。
ふるき良き伝統技術で現代の必需品を優しくつつむ、そんなあたらしいシルバージュエリーを目指しています。