
【第4回】シルバージュエリー着用の理由 銀はなぜ様々な宗教で重用されたのか?【財産/動産編】
「銀(シルバー)」というマテリアルはその発見以降、何千年にもわたって世界中のあらゆる地域・民族から装身具の材料として使われてきました。
では、人々はなぜ銀という素材にこだわったのでしょうか?
装身具史研究家の露木宏氏は著書『神々の宿る銀(2013)』にてその理由を以下の5つに分類し定義しました。
1:自己を美しく装うため
2:邪を払い、招福を願って
3:信仰・宗教の証として
4:財産(動産)として
5;民族のアイデンティティーさらには民族の誇りとして
当サイトでもこの分類にならい、上記5分類にならった「シルバージュエリー着用の理由」について考察。
第4回では、「持ち歩ける財産」として銀を身につけていた人々についてご紹介いたします。
シリーズ第3回はこちらから
■ミャオ族の銀細工には動産としての意味もあった

CRAFT TALESのシルバージュエリーを製作しているミャオ族の銀飾りは、それそのものが彼らにとって大切な財産でもあります。
その理由は彼らがかつて焼畑農業を営み、移動を繰り返していたため。
一箇所に定住できない以上、ミャオ族の人々は財産である「銀」を身につけている必要がありました。
銀は漢族商人との取引で得た商品の代価であり、貨幣として流通していたこれらの多くを鋳潰して銀飾りとしました。
ミャオ族にとっての銀飾りは女性らの装飾品であると共に、持ち歩ける「移動財産」として定着したのです。
■シルバージュエリーの財産化は遊牧民や山岳民族に多い傾向

銀を財産として身につける文化は、主に移動生活を送る民族や、山岳・遊牧社会でよく見られ る現象だと言えるでしょう。
ミャオ族と同様に山岳地帯で暮らすヤオ族やアカ族、モン族にとってシルバーアクセサリーは富や地位の象徴であり、嫁入り時に新しい家庭に持ち込む財産でもあります。

『アラビアのロレンス(1962)』で知られるアラブのベドウィンは、新鮮な牧草地や水を求めて放浪する遊牧民族。
彼らは当然ながら財産を身につけられる形で持っておく必要があり、ベドウィンにとっての銀のネックレスやブレスレットは装飾品であると同時に貯蓄口座でもありました。
このように、財産としてシルバージュエリーを身につける人々は、移動の多い山岳民族や遊牧民に多い傾向。
必要とあらば売却したり鋳潰すことを前提としつつ、着用にあたっては最大限装飾を施し美しさと追求する。
彼らが身につけるシルバージュエリーには、そんな儚さも魅力に花を添えているのではないでしょうか?





